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第7回 血圧のコントロール

今皆様の状態は「腎不全の保存期」にあります。

保存期にある患者様の最も大切なことは、腎不全の悪化を予防し、腎臓の働きを維持することです。

自分の病気を認識し、上手に付き合う必要があります。

ここでとりあげる「血圧のコントロール」は、腎臓を保護することであり、食事療法や薬物療法と非常に関係があり大切な治療方法のひとつです。

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主に太い血管から細い血管へ血液が流れていくときに起こる血管の抵抗と心臓から送り出される血管の中を流れていく血液の量とによって決まります。

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【正常血圧】 

家庭:115/75mmHg以下

診察室血圧:120/80mmHg以下

 

【高血圧】

収縮期血圧135mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg以上

正常血圧と高血圧の間は、正常高値血圧や高値血圧と呼ばれ、将来的に高血圧になりやすいと言われています。

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【血圧変動因子(日常生活上)】

➀日差 

基礎血圧:夜間睡眠時の血圧は最も低く、朝の覚醒時の血圧はこれに近い。深呼吸を10回以上した後に測定する血圧もこれに近い値となる。

安静血圧:30分以上安静に横になって測定した血圧。夜間より日中の血圧が高い―交感神経系の働きが強まる、体位、諸活動の影響。個人差が大きい。

 

②気温

暑いとき低下し寒い時上昇-外気温により皮膚血管の拡張・収縮

 

③性差

一般的に体格上 男性>女性

 

④体格

身長が高く体重の重い人>小さい人や痩せた人-基礎代謝が関与

腕の太い人は細い人よりも血管周囲の組織が厚いため血圧が高く出やすい。

 

⑤体位

最高血圧は立位<座位<臥位の順に高くなり、最低血圧は臥位>座位>立位の順に高くなる。

 

⑥食事

食後やタンパク質の多い食事では新陳代謝が高まり、上昇する。

 

⑦運動

心拍出量が増加するため高くなる。

 

⑧精神的作用

精神的緊張は交感神経系の作用が強く働き、上昇する。

 

⑨入浴

入浴後一過性に上昇し、血管拡張に伴い低下する。

 

⑩タバコ・アルコール

タバコに含まれるニコチンは血管を拡張させ、血圧を上昇させる。

アルコールは血管を拡張させる。

 

⑪マンシェットの巻き方

マンシェットの幅が上腕より狭すぎる場合、ゆるく巻いた場合では、わずかに高く測定される。

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購入場所-薬局・ドラックストア・スーパー・デパート・通信販売

 

オムロン:およそ4000円~1万5000円

 

パナソニック:およそ5000円~

 

タニタ:およそ8000円~

 

シチズン:およそ4000~

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【血圧測定のポイント】

・いつも同じ条件で測定しましょう。

 

・肌着1枚分の厚さなら腕まくりせずに、厚着をしている時は測定する腕の袖を外し、圧迫を避けましょう。

 

・毎日同じ時間に測定しましょう。

 

・座った状態ならいつも座って測定しましょう。

 

・動いた後は10分程度安静にしてから測定しましょう。

 

【測定のタイミング】

朝:起床後1~2時間以内、朝食前、トイレ後、薬を飲む前

夜:夕飯や入浴の前

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【血圧を上昇させる因子】

➀塩分

食塩の成分であるナトリウムが体内に貯留すると体液が増え、交感神経を緊張させたり血管を収縮させるなど、血圧を上げる作用があります。

体液をいつも一定のナトリウム濃度に保つようにナトリウムと水分は常に一緒に働くようになっています。つまり、体の中の塩分が多すぎるとそれだけ水分も多くして濃度を保ちます。従って塩分をたくさんとると体の中の水分も多くなり循環する血液量が増えて血圧が上がってしまうのです。

 

②加齢

年齢とともに血圧は上昇します。(動脈硬化が進む)

 

③肥満

太っていると末梢の細い血管が圧迫されて血流が悪くなります。

なるべく標準体重になるように努力しましょう。

 

④腎疾患

腎臓の働きの一つに血圧を調節するホルモン分泌があり、これが障害され血圧が上昇し、さらに腎臓の機能を低下させます。

自己管理ノートに記載する内容

毎日測定した血圧、体重、日常生活上の事柄(風邪を引いた、仕事が忙しかった、宴会)、内服薬の名前・追加薬・中止等の記載、診察日の採血結果、注意事項等を自分自身で記入することで、療養生活を治療の理解と納得で送ることができます。

自宅での血圧は医師が降圧薬使用の判断や効果の参考にします。

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【日常生活の心得】

毎日の生活の中で自分自身ができる治療のひとつが腎臓をいたわり病気を悪化させる要因を避けることです。

血圧を上昇させる因子をできるだけ取り除くことができるように心がけましょう。

 

ポイント➀

十分な睡眠と規則正しい生活

 

ポイント②

過労を避け体を休める習慣をつけましょう

 

ポイント③

体を冷やさないようにしましょう

 

ポイント④

風邪などの感染予防のために手洗い、うがいをする習慣をつけましょう

 

ポイント⑤

禁煙

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